神戸の相続・遺産分割・共有不動産問題
坂田法律事務所 
弁護士 坂田 智子
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収益不動産の遺産分割が決まりません。遺産共有のままだと問題ありますか?

賃料のたくさん入る不動産はみんなが欲しがり、古くてあまり賃借人の入らなくなった収益不動産はみんなが敬遠し、収益不動産のある遺産分割をまとめるのは難しいです。

結局、分けやすい金融資産だけ分けて、収益不動産は遺産共有のまま、何年も経ってしまうことがあります。

例えば、不動産業者に、回収した賃料から管理費用を控除した金額を等分にして全相続人に振り込んで貰うようにしていたとしましょう。それでも、相続人の誰かが、不動産業者から、賃借人の退去の際には、「このような傷があったので敷金から控除したら、『経年劣化だ』と言って返金を求められています。」と言ったもめ事の対応や、「入居前の改装をどの程度しましょうか?」と相談されれば、相続人の誰かが窓口になって、全相続人の了解を得ながら改装の依頼をしなければいけません。

相続人の中の誰かが無償で管理業務を行うことになり、他方で、他の相続人はお金だけ貰っておけばよいので、ますます、収益不動産を手放すのが嫌になります。

10年、20年単位では、大規模な修理も検討することになりますが、その合意を取るのはさらに大変です。分配された収益をすべて使ってしまって、大規模修繕のお金を負担できない人もいるかもしれません。

収益不動産には管理業務が必要です。しかも長期的な視点での管理が必要です。

その視点を持たないまま、なんとなく遺産共有にしておくと、将来、もっと複雑化した状態で遺産分割、若しくは共有物分割の問題を解決しなければいけなくなります。

また、相続人の中の一人が、遺産の収益不動産を管理し、収益の分配もしていないことがあります。

「いつか遺産分割が成立したら、過去の賃料も分けて貰える」と思っていませんか?

5年を経過した賃料収入については、消滅時効を主張されて、請求できなくなります。

放置している間にほかの法律問題が発生して、解決はますます難しくなってしまいます。

収益不動産の遺産分割は簡単ではありませんが、放置せずに、今、解決して下さい。

遺産分割での遺産不動産の評価額は一義的に決まりません。

遺産不動産を売却せず、相続人の中の誰かが取得する場合は、遺産不動産の評価額を出して、法定相続分より多い部分があれば、他の相続人に代償金を支払うことになります。

ところが、遺産分割での遺産不動産の評価額は一義的に明らかになるものではありません。

詳しくは、「遺産分割における遺産不動産の評価方法」のコラムをご覧ください。

遺産を取得する側は「古い建物だから評価額は2000万円。1000万円の代償金を渡します。」と提案していますが、他方の相続人は返事をしてこなくなりました。「毎月50万円も賃料が入ってくるのに、それでは私が損じゃない?」と思っているのかもしれません。もやもやとした空気の中、遺産分割協議が行き詰まってしまいました…

そのまま放置しがちですが、収益不動産がある場合は権利関係が複雑になります。

どうやって遺産分割協議を先に進めればよいのか、一度、弁護士にご相談ください。

遺産分割の済んでいない遺産不動産は法定相続人全員の共有になる

遺産分割未了の不動産は、法定相続人全員による法定相続分ずつの共有になります。遺産共有という状態で、これを誰かの単独所有にするには遺産分割をするしかありません。

被相続人名義の不動産は、法定相続人の一人だけでも相続登記をすることが出来ますが、

法定相続人全員の法定相続分ずつの共有登記になります。

遺産不動産の賃料は法定相続分ずつ権利がある

遺産不動産が収益不動産の場合、その賃料は、共有者、すなわち、法定相続人全員が法定相続分ずつ取得する権利があります。

5年ほど遺産分割未了の状態が続くと、5年後に遺産分割をする際に、被相続人が亡くなってから5年分の賃料を清算することが多いです。

5年分以上の清算が必要になると、賃料の清算は遺産分割のついでに片づけるには複雑になりすぎるので、不当利得返還請求訴訟という、ほかの相続人らから遺産不動産と賃料の管理をしていた相続人に対して、不当利得返還請求訴訟という別の訴訟をして解決しなければならなくなることもあります。

遺産不動産の管理をしていた相続人の労務は費用化されにくい

遺産共有状態の間も、相続人の誰かが、賃料を回収し、遺産不動産を修繕し、固定資産税を支払う必要があります。

ご両親がご存命の時から事実上相続人の一人が遺産不動産の管理を始めている場合など、事実上そのまま管理を続けざるを得ない状態です。

不動産業者に賃貸管理を任せると費用が掛かるからと、相続人が賃貸物件の掃除をしたり、入居者対応をしたり、消防署の講習に出かけたり、かなりの時間と労力をかけている場合もあります。

でも、上記の通り、遺産分割未了の間は、遺産不動産の賃料は、法定相続人全員が法定相続分ずつ権利があるので、いつか清算をすることになります。

その清算の時に、「頑張って良い管理をしてきたからこの賃料が維持できている」「満室が維持できている」という評価を金額に反映して賃料が分配されることは、あまりありません。

きちんと自分の不動産にしてから不動産管理をがんばらなければ、悔しい思いをすることになります。

遺産不動産の管理は過半数で決めなければいけない

遺産分割未了の遺産不動産は、上記の通り法定相続人全員の共有です。共有不動産の管理は、共有者の過半数で決めなければいけない、と民法で決まっています。

例えば、賃貸契約を締結することも「管理」にあたります。

きょうだいで2分の1ずつの共有状態になっていて、管理をしている一人が勝手に賃貸借契約を締結を締結しても法的には保護されません。不動産業者さんに賃貸の仲介をお願いしても、一人だけからの依頼は受けて貰えないはずです。

壁紙を張り替えたり、外壁を塗り替えたりするのも「管理」です。業者さんは一人からの依頼でもお金さえ払えば請け負ってくれるでしょう。

でも、いつか、「賃料」と「費用」の清算をするときがきます。そのときに、「私はその工事に同意をしていない。そんな高い工事費用は認めない。」という争いになる恐れがあります。

いろいろ思われるところはあるはずですが、放置はよくないです。

待つ場合にも、弁護士に相談して戦略的に待ってください。

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