
神戸の相続・遺産分割・共有不動産問題
坂田法律事務所
弁護士 坂田 智子
(兵庫県弁護士会所属)
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例えば、私道部分の土地など、複数の共有となっていて、共有者の中に行方不明の方がいる場合、解決するための方法をご紹介します。
共有不動産の共有者が、他の共有者を知ることが出来ず、または、他の共有者の所在を知ることが出来ないときは、裁判所は、共有者の申立により、裁判所の決める額を供託させて、申立共有者に所在等不明共有者の持ち分を取得させる旨の裁判をすることが出来る制度が出来ました(民法262条の2第1項、非訟事件手続法87条5項)。
この改正法は令和5年4月1日に施行されましたが、まだあまり利用されていないようです。裁判所の決める供託金額がいくらくらいになるのか予測がつかないこと、また、所在等不明共有者に「時価相当額請求権」が認められており(民法262条の2第4項)、後日、所在等不明共有者が出てきて、供託額よりも時価相当額の方が高いということになると、その差額を支払わなければならなくなる可能性があることなどで、ちょっと躊躇してしまうのかもしれません。
同じ時期にできた「所有者不明土地管理制度」の方が使いやすいかもしれません。
所在等不明共有者の共有持ち分について、利害関係人の請求により、裁判所が、所有者不明土地管理人による管理を命ずる処分が出来る制度が出来ました。
こちらは、予め、所有者不明土地管理人の業務にかかる費用の予納を命じられます。
裁判所の許可が必要にはなりますが、所有者不明土地管理人が所在等不明共有者の代わりに、その共有持ち分を売渡したり、または、他の共有者と一緒に共有地全体を第三者に売却することが出来ます。前述の所在等不明共有者の持ち分取得制度のように、後から時価評価が問題となることはありません。
従来からある「不在者財産管理人制度」も相変わらず使われているようです。
不在者財産管理人は、当該その不動産だけでなく、その所在等不明共有者の他の財産も全部管理することが仕事になるので、必要のない仕事をしてもらうために余分に費用を予納しなければいけない、というところが問題視されて、当該その不動産の管理業務だけをする所有者不明土地管理人制度が新設されました。使い勝手が良いようでしたら、所有者不明土地管理制度の利用は増えていき、所在等不明共有者、所在等不明所有者の不動産の処分が進むかもしれません。
これらの制度は、例えば、
あなたのご自宅が弟さんと共有になっていて、自分が元気な間に自分の名義にしておきたいけど、弟さんがどこにいるのかわからない、という場合や、
お父様が亡くなった後ご実家が空き家になっていて、処分したいけど、お兄さんがどこにいるかわからないから売却できない、という場合にも、
使える制度です。
ただし、共有不動産が遺産不動産の場合、遺言書で指定されて共有になった場合や遺産分割協議の結果共有になった場合にはこの制度を使えますが、まだ遺産分割協議もしないままの遺産共有状態の場合は、相続開始の時から10年を経過していないとこの制度は使えません。(民法262条の2第3項)
裁判所は、所在等不明共有者以外の共有者の全員が特定の者に対してその有する持ち分の全部を譲渡することを停止条件として、所在等不明共有者の持ち分を当該特定の者に譲渡する権限を付与する旨の裁判をすることが出来る制度が出来ました(民法262条の3)。
ただし、所在等不明共有者の持分譲渡権限付与決定が出たら、2か月以内にほかの共有者の持ち分も全部譲渡を済ませてしまわなければ、決定は効力を失います(非訟事件手続法88条3項)。「値上がりしたらすぐに売れるように、先に決定を取っておこう」というのは認められていません。
また、このような場合でも、前述の事例同様、所有者不明土地管理制度を利用することが出来ます。
所有者不明土地管理人は、裁判所の許可を得て、所在等不明共有持ち分者に代わって、売却の同意をすることが出来ます。
不在者財産管理人制度も利用できます。
どの制度を利用すると、どういうメリットがあり、どういうデメリットがあるのか、個別具体的な事案の事情に応じて、使い分けると良いでしょう。
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